心-ココロ-



「図書委員では何もないの?」

「ビブリオバトルあるけど…私は参加しないよ」

「そうなんだ」

「…なんで?」

「あまり、あの先輩と関わってほしくないから」

「茜部先輩?」

「茜部先輩っていうの?まあその、茜部先輩とは、当番の時の必要最低限の関わりだけがいいから」

「最近はそうだよ?」

「ん、そっか」


涼くんは安心したように笑った。


文化祭当日。

私は前半、給仕の当番だった。

前日家庭科室で作ったパウンドケーキと、紅茶を振る舞う。

思ってた以上に繁盛していて、あちこち動き回る。


「琴葉!注文お願いします」

「あ、涼くん」


忙しくしていて、入ってきていることに気付いてなかった。


「同じのしか出ないよ、注文って言っても」

「あ、そっか」

「持ってくるね!」

「待ってます」


裏からパウンドケーキと紅茶を持ってくる。


「お待たせしましたー」

「店員さんはお持ち帰りできる?」

「あと30分くらいで交代!」

「了解、持って帰れるんだ」


涼くんは面白そうに笑った。


約30分後、昇降口の少し空いてる所で涼くんと待ち合わせ。

向かうと、涼くんがスマホを眺めながら待っていた。