少しレトロな雰囲気な、昔ながらの喫茶店をイメージしている。
男子は外装、女子は家庭科室で腰エプロンの裁縫と分かれて作業する。
「いやー、私外装の方が向いてるってー!誰だよ、男女平等の時代に、男女分けた奴!」
と、優奈がわあわあ騒いでいる。まあ確かに。と思いつつ、裁縫がそこそこ好きな私は丁寧にちまちま縫っていた。
気付くと18時が回る。いつもなら最終下校のチャイムが鳴るが、文化祭準備期間中は鳴らないらしい。
10月ともなると、日の入りも早く、かなり暗くなっていた。
自分のノルマが終わっていた私は、さっきから通知がブーブー言っていたスマホを見た。
カスタムスタンプに私の名前を入れて、琴葉ー、琴葉ーと送ってくる涼くんからのLINEだった。
<もう帰るよ>
とだけ、送った。
「あー!終わったー!」
「腰いったー」
奏と悠李が声を上げていた。
「今日は帰ろっか!エプロン作り終わったし!」
「そうだねー」
身支度を済ませて、4人で昇降口へ。校門まで出てくると、自転車でやって来た涼くんの姿が。
「はあ、間に合った…」
「涼くん?!」
「こんな暗い中、1人帰らせる彼氏いないでしょ…?」
「え、あのLINE見て、急いで来てくれたの?」
「そうだよ」



