心-ココロ-


私もそんな気がしている。涼くんの言動に、少し身を引きたくなっている。最低だけど…すごく最低だけど、茜部先輩の方がいいとか、思ってしまう。深く干渉してこないし、気楽に話せるから。


「別れたくはないけど…琴葉の言動、不安だよ…」

「…ごめん」

「ごめん、1人で考えたい」


涼くんはそう言って、自宅に帰っていった。


「…愚痴ってもいいですか」

「なに」

「初めて、涼くんと他の人で揺らぎました」

「誰と」

「茜部先輩と」

「ポロッと衝撃発言すんな」

「不必要に干渉してこなくて、なんでも話しやすくて、余裕があるの、いいなって」

「要するに、彼氏は過干渉で、話すことに躊躇する話題があったりノリが合わないことがあったりして、甘えん坊とか寂しがりってとこか?」

「まあ大体そういう感じですね」

「ふぅーん」


すると茜部先輩は、首を傾げて不敵な笑みを浮かべる。


「じゃあ、俺と付き合う?」

「…それは」

「俺の方が、いいんじゃないの?」

「まだ涼くんと別れたわけではないので」

「そう」


それに、先輩に好きと言われたわけでもない。
ちゃんと愛されたい。
愚痴は言ってしまったものの、涼くんは全身で愛してくれるから。そこを否定してるわけじゃない。