体育祭が終わると、梅雨がやってくる。
ジメジメ雨降りで、なんとなく気分も落ちる。
体育祭明けの最初の水曜日。
図書室はなんとなく今までより利用者が増えた気がする。
茜部先輩は先に来ていた。
「茜部先輩、おつかれさまです」
「おつかれ」
いつもなら、振り返って言うのに、こちらを見ずに返してきた。
機嫌でも悪いのかな、それとも眠い?
そういや体育祭の後、目を逸らされたっけ。
「こないだの体育祭の時、ありがとうございました」
「…ああ」
「もしかして、ご友人に何か言われたりしました?」
ありもしないことでからかわれて機嫌が悪いのかもしれないと思った。
「別に」
「いや、でもなんか、目逸らしたり…」
「ここ図書室、私語慎め」
今まで話しててもそんな強い口調でどうこう言ってこなかったのに。
「…ごめんなさい」
なんとなく、今まで以上に気まずく昼休みの当番を終える。淡々と、業務をこなす。それだけ。
放課後の当番、気が重かった。
図書室に行くと、既に茜部先輩はいる。
「おつかれさまです」
「おつかれ」
機嫌の悪そうな声調で返してくる。
隣に数時間座ってるのはさすがに気まずすぎる。



