「図書委員、何してるの?」
「貸出と返却のバーコードのあれこれと、返却された本の片付け。まあ、一般的に思いつくような業務だよ」
「毎週の決まった日の放課後?」
「昼休みと放課後だね。昼休みは滅多に人来ないけど」
「何曜日?」
「水曜日」
涼くんは、呆れたような顔をした。
「あのさ…俺がここまで聞き出さないと言ってくれないの?琴葉の情報」
「興味無いかもしれないじゃん…」
「そんなことない。ねえ、俺の愛情ナメてんの?琴葉のこと、なんでも知りたいんだよ、分かる?」
「私そんな面白い人間じゃないし…」
「面白いとかつまらないとか、そういうんじゃないんだよ。ただ知りたいだけ。誰よりも琴葉のこと知っていたいだけ」
「そっか?」
「琴葉は俺のこと、もっと知りたいって思ってくれないの?」
知りたいけど、知りたくない。知って傷付くくらいなら、知りたくない。涼くんの通う学校にいる可愛い子のこととか、知ってしまったら確実に病む。だったら知りたくない。
「…知りたいけど、知って傷付くくらいなら知りたくない」
「なるほどね、分からなくもない」
そんな話をしながら歩いて帰っていった。



