心-ココロ-


横では、好きな人を引いたであろうペアが告白をして、成就した感じの雰囲気が見える。

最後の種目にしたのは、そういうことか。


体育祭の片付けをして、制服に着替えて帰ろうとする。


「あれ、琴葉。打ち上げは?」

「…ああ、私そういうの苦手だからいいや。ってのと、涼くんと会うから帰るね」

「あ、そうなの!分かった、伝えとくー。おつかれ!」

「おつかれー」


校門を出ると、涼くんがいる。


「わっ、びっくりした。え?駅待ち合わせじゃないの?」

「早く会いたくて来ちゃった。体育祭おつかれさま!」

「汗臭くない…?」

「別に気にしないよ」

「うーん…」

「帰ろっか、ほら、手出して」


恋人繋ぎで、帰路に着く。

ふと視線を感じ振り返る。

少し遠目に茜部先輩と目が合う。

おつかれさまです、と会釈する。

その途端、目を逸らされる。


何考えてるかよく分からなかった。


「どうした?」

「図書委員でペアの先輩いたから、会釈してた」

「律儀だね。…てか、図書委員なった話知らないんだけど」

「…そうだっけ」

「琴葉って、自分から自分の話、してくれないよね」

「まあ…うん」