部活もやってないし、やってたらまあ優しい先輩に声かけて友人ってことにしてもらえたかもしれな…
先輩か。
図書委員の、先輩。
茜部先輩、は?
いやいやいや、根は優しいけども…。
うーん…
よし、背に腹はかえられない!
捜せー!
2年生の席を捜す。
「いた!」
前から2番目の席に、茜部先輩がいる。
「…あ?俺?」
「来てください!お願いします!」
「は…?他にいねーの」
「茜部先輩しかいないです…!」
やっと立ち上がった先輩の手首を掴んで走り出す。
「足遅」
「んー!」
ぐうの音も出ない!
3位でゴールする。借り物借り人で苦戦してる人が多いみたいだ。
「お前運痴なのな」
「運痴…」
「ダンスもぎこちなかったし」
「見てたんですか」
ふっ、と鼻で笑って目を逸らす。
「てか、お題何だったの」
「怒りませんか」
「内容によるな、それは」
紙を渡す。
「他学年の友人?…友達になった覚えねーけど」
「私に他学年の友人いるように見えます?」
「ぼっちだろうな」
「友達はいますよ、同級生に!…でも、先輩に知り合い、茜部先輩しかいなかったので、優しいから協力してくれるかなと、一か八か当たってみた感じです」
「そういうことかよ」



