心-ココロ-



急にテレビを消される。


「んっ?」

「おいで?琴葉」

「何で消したの?」

「いいからおいで」


言われるがまま、ソファに座る涼くんの前に立つ。


「腿に座って」

「いや重いって」

「重くない」


恐る恐る腰かける。


「重くないから大丈夫だよ、そんな恐る恐る座らなくても」

「これで、どうするの…?」

「どうするって、ね?」


少し下から顔を覗き込んでくる。


「イチャイチャする以外に何があるの?」


いつもより落ち着いた声でそんなことを言う。


「琴葉だって、1番したかったのイチャイチャじゃないの?違う?」


私の唇に、親指を沿わせる。


「んっ」

「何されると思った?」

「キス…」

「する…?」


心臓の音が涼くんに届きそうなくらい、バクバクと跳ねている。

至近距離で、目と目が合う。

小さく頷く。目を逸らさぬまま。

涼くんの顔が少しずつ近付いてくる。

私は目を閉じる。

唇に柔らかく温かな感触が伝わる。

初めてのキスを、涼くんに捧げられて良かった。

唇が離れる。初めてのキスが、終わりを告げる。


「琴葉?」

「ん」

「やばい、止まんない」


そう言って、また唇を重ねてくる。

離れてはまた重ね、離れてもまた重ねてを繰り返す。