「涼くん、意外と甘えん坊さんだね」
「嫌だ?」
「ううん、嫌じゃない。嬉しい」
「そっか」
腕を解いて、涼くんも靴を脱ぐ。
「ソファ座ってて」
「手伝うことないの?」
「いいよ、お客様でしょ」
「あーそう?よーし、ホラーから観ますかー!」
「心の準備が…」
「はいはい、観ますよー」
渡してきたディスクを渋々セットする。
そういや飲み物いるか、と思いキッチンへ。
「飲み物何がいい?」
「何がある?」
「麦茶とか、コーラとか」
「じゃあコーラで」
「おっけ」
自分は麦茶で、注いでいく。
「ありがとー」
ソファに座ってる涼くんの横に座る。
「横でいいの?」
「え?」
「脚の間くれば?」
と、脚の間をとんとんと叩く。
試しにそこに入ってみる。
「隙ありっ」
何?と聞く間もなく、涼くんは私のことをギューと強く抱き締める。
「ほら、これで怖くないでしょ?はい再生と」
手元にあったリモコンを涼くんが操作する。
「ちょっ…」
再生されていく。
唐突に現れる幽霊や心霊現象に、ひぃだのひゃあだのぎゃあだのわぁだの言いながら、涼くんにしがみつく。涼くんは満更でもなさそうにする。
最後まで観終わる頃には、涙目だった。



