心-ココロ-



そして日曜日。


10時にピンポンが鳴る。

玄関のドアを開け、


「はい」


と返事。


「琴葉!」


涼くんの姿に、笑顔になる。

鍵を閉め、門扉を開け、涼くんの手を握る。


「手、繋ぎたかったんだもんね?」

「うん…」


改めて言われると、さすがに恥ずかしい。


「でもさ、俺この繋ぎ方飽きたかな」


一旦手を離されて、指を絡まれる。


「ん、こっちでもいい?」


恋人繋ぎ。頷くと、指にチュッと唇を当てられる。

そして微笑む。


「行こっか」

「何?今の?」

「さあ?」


誤魔化された。


レンタルショップに着くと、各々吟味する。私は前から観たいと思っていた、泣ける系の恋愛映画をセレクトした。涼くんは、日本のホラー映画。


「え待って、ホラー?」

「苦手?」

「怖いじゃん」

「だからいいんじゃん。抱きついてくれていいんだよ?」

「それが目的か」

「ふふん」


ふふん、じゃない。

当たり前のように恋人繋ぎをして帰宅すると、靴を脱いでる最中に後ろから抱き締められる。


「え、何?」

「会いたかった…」


寂しげな声でそう呟いてきた。

抱き締める力を強めてくる。