「あのっ…すみません」
「いや悪い、やり方教えてなかったし、来るのも遅かったから」
謝られた…?
「やり方教える」
丁寧にゆっくり、教えてくれた。
「返却された本は、ある程度溜まったら人の具合見て片付ける」
「はい」
「毎週の業務は一応そんくらい」
「分かりました、ありがとうございます」
放課後は、17時半まで図書室を開放している。
この日は5人ほどが返却していって、10人ほどが借りていった。
「普段このくらいですか?」
「まあ、こんくらい。多い時は多いし、少ない時は少ない」
「そうなんですね」
職員室に図書室の鍵を返し、帰ることにする。
外は薄暗い。
「胡桃だっけ」
「はい」
外に出て、呼ばれる。
「最寄り駅どこ」
「最寄り駅?学校のですか?」
「ちげーよ、お前の家のだよ」
天然みたいになっちゃったよ。恥ずかしい…。
「徒歩圏内ですよ、電車とかバスは使ってないです」
「そう。…遅いから送る」
「いやいや、近所だから大丈夫ですって」
「徒歩何分」
「20分、くらいですかね」
「そんな近所じゃねーじゃん。…ほら、どっちだ?行くぞ」
半ば強引に送られることになってしまった。



