心-ココロ-


昼休みの図書室は、思っていた以上に閑古鳥が鳴く。

茜部先輩と2人きり。先輩は何も思っていなさそうだけど、気まずい。

なんだったら突っ伏して寝ている。


「…寝るのはまずくないですか」

「昼休みなんか、誰も来ねーよ。来るとしたらせいぜい放課後」


初めてろくに声を聞いた。


「去年も、図書委員やってたんですか?」

「そうだけど?」


聞けば返してくれるのか…。つっけんどんだけど。

まあ…もう話すことなくて、また図書室は静かになる。

昼休み終了5分前になって、教室に戻る。


放課後。また図書室に行くと、まだ茜部先輩は来ていない。


「すみません、これ返してこっち借ります」

「えっ、あっ、はい」


うそ、まだやり方教わってないのに!

ちんたらしてたらイライラさせちゃう…。

そう思えば思うほど、慌てて軽くパニックする。

えっと…


「何年何組ですか?」


横から声がした。

見上げると、茜部先輩の姿。

慣れた手つきで名簿のファイルをパラパラめくり、バーコードをスキャンし、貸し借りの手続きをしていた。


「ありがとうございましたー」


業務の時は愛想良いのか…と、感心してる場合じゃなくて。