「美香、でもなんでわざわざ蒼宙先輩のこと好きって嘘ついたの?」

「え?」

「ちょっと待て、話す気かそれ」

「男のプライド的には話されたくないかー」

「え、なになに?」


遡ること4月頃。

私、手越美香はサッカー部の練習、及び金指くんを眺めていた。すると、邪魔するかの如く、近寄ってくる男。


「ちょっといい?」

「告白とかなら間に合ってます」

「あんたにじゃないよ。あんたの友人に用がある」

「ん?」

「いつも横にいる、大人しそうな子」

「あー」


私は碧の写真を見せる。


「この子?」

「そうそう、この子」

「それで…?」

「俺とくっつくように手助けしてほしい」

「無理だよ、碧は。人見知り激しいし」

「友人の人見知り治してあげたくないのか?」

「まあ…治してあげたいけど」

「協力してくれないか?」


ということがあって。

その後日々連絡取り合って、作戦会議よ。


「名前言われてないのに、普通に呼んじゃった時は焦ったな。碧、気付いてなかったけど」

「そうだったんだ」

「まあ、お礼として金指くんとのデート取り付けてくれたからいいのよ」

「ちゃっかりしてますね」

「俺らもデート、しようね?」

「しますよ?」