立ち込める煙にダナは激しく咳き込む。この体が燃えるのも時間の問題だ。

その時、「イェルペ!」という呪文がどこからか聞こえてきた。



目を閉じていたダナは、周りが全く熱くないことに気付く。そして恐る恐る目を開けると、そこは三人で勉強をしていたダナの部屋だった。

「えっ?帰って来られたの?」

ダナがそう呟くと、「本当だ……。やった!」とディアナが安堵から泣き始める。それをモルガーナが優しく抱き締めていた。

「よかった……。助かったんだ……」

ダナはそう言い、胸に手を当てる。きちんと鼓動が手に伝わってきた。

「何とか間に合ったよ。こんな危険な魔法を使ってるなんてね……」

聞き慣れた声にダナたちは一斉にドアの方を見つめた。そこには、三人のクラスの担任であるダグザがいる。

「先生が助けてくれたの!?本当に死ぬかと思った!!」

ディアナがダグザに抱き付き、ダグザは優しくディアナの頭を撫でる。ダナとモルガーナもダグザに近づくと、ダグザは二人の頭も撫で、「よく頑張ったね。怖かったね」と優しく言った。