Dark Fantasy Night

「どういうこと?」

ダナが訊ねると、モルガーナは「サヴィン祭では、生贄の儀式が行われるの」と呟く。想像以上に残酷な真実にダナは言葉を失った。

「伝説によると、サヴィン祭の最中にクロム・クルアハというアイルランドで信仰されていた神が収穫した農作物の他に幼い子どもを生贄として要求したそうよ」

「クロム……?聞いたことのない神様だね」

ディアナはコテンと首を傾げる。確かにダナも聞いたことのない神だ。モルガーナは続ける。

「詳しい神話は残っていないのだけど、様々な神を抹殺したらしいわ」

「ええ〜!!めちゃくちゃな神様じゃん!!そんなのが信仰されてたの!?」

ディアナが大声を出し、「騒いだら見つかっちゃうわ」と慌ててダナがディアナの口を手で塞ぐ。

「この生贄の儀式は、ドルイドと呼ばれる祭司が行なっていたの。ドルイドは宗教的、政治的指導を行い、争い事の調停などをしていたわ。ドルイドに不服を唱えた者は社会的地位や信用を失ったそうよ」