「た、隊長!今は、争っている場合ではありません!!サイクロプスが、人間を襲ってます!!」

慌てたように、アサは言った。この人が、今回のカイロス隊を率いる隊長なんだ。

「襲われているのは、クロノスの人間だろう。クロノスの奴らなど、放って置けばいいのだ」

冷たい目をアサに向けて、隊長は腕組みをする。アサは俯いた後、顔を上げた。

「クロノスだから、とか、そんなの関係ないです!クロノスだろうが、カイロスだろうが……どこに住んでいようが……皆、同じ人間なんだ。それを、隊長は見捨てるとでも言うの?」

「……そんなの、おかしいよ……」

紫羅は切なそうな表情で、隊長を見る。

「おかしいよっ!……別にさ、喧嘩をするのは悪いことじゃないよ?でも……でもさ……何もしてない僕らを巻き込まないで!!僕は……っ、僕は!大切な人を失いたくないんだよっ!!」

「……紫羅……」

紫羅は、泣き叫んだ。こんな紫羅の姿を見るのは、幼なじみの私でさえ初めて。……そんなことよりも……。

「…………ごめん、アサ。紫羅を頼んでいい?私は、サイクロプスを倒しに行く」

そう言って、私はアサを見る。アサは、頷いてくれた。

「私も行くよ」

ミモザが言う。私は「分かってる」と微笑んだ。そして、私とミモザは同時に走り出す。