「気を付けて帰るんだよ」

おばあさんに手を振って、私は店を出る。もらった筆ペンを早く使ってみたくて、私は壁にもたれかかって、カバンから小さなスケッチブックを取り出した。

早速、筆ペンをスケッチブックに走らせる。描き心地が良くて、滑らかに筆は進んでいった。まるで、空中に絵を描いてるかのような感覚……。

……筆ペンって、ここまで描き心地が良いものか？

「そこの君！！危ないよ！！」

誰かの叫び声が聞こえて、私は顔を上げる。1台の車が、猛スピードで私の方に向かって走ってきてた。逃げなきゃって思ってても、体が動かない。

物凄い音がした瞬間、私の意識は途切れた。



森の中。私は、片手に魔力を集中させて……放つ！

放った炎が、モンスターに当たる。モンスターは怯むけど、倒れる気配が無い。

私は、ローブのポケットから筆ペンを取り出して、素早く空中に刀を描いた。

「マテリアライズ」

その言葉を言った瞬間、空中に刀が現れる。私が空中に描いたやつを具現化した刀の柄を握って、走り出した。

モンスターに向かって、刀を振り下ろす。その刃がモンスターを斬って、モンスターは地面に倒れた。

「……ふぅ。ゲームの世界の住民も楽じゃないんだな」