皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜



「…っはぁ。思ったより強いんだね。」

「…そりゃぁ、父直々に教えてくれたので。」



もう一度振り払おうと試みる。

が、それをすることはできなかった。


焦りを感じ始めた私を見て、先輩はクスクスと笑いだした。



「…何なんですか?」

「や、確かに女の子としては強いね。でも、これでも僕、男だよ?あれは不意打ちをくらっただけ。」



そう言って、両手を橋の手すりに押し付けられてしまった。


びくともしなかった。


──ここからでも叫べば、外にいる人に少しくらいは聞こえるかもしれないっ!


そう思い、声を出そうとしたが思ったように出ない。

出るのは掠れた小さな声だけ。



「あれ?怖くて声出ないのかなぁ?かわいいね。ね、早く僕のものになって?」



そう、顔を近づけながら囁いてきた。

全身に鳥肌が立つ。



「いっ、や…だっ!」



絞り出した声で否定し、慌ててキスされないように顔をそむけた。


すると、先輩はそのまましばらく固まってしまっていた。


恐る恐る、顔をのぞき込んでみると、見たこともないような冷たい目をしていた。