「…先輩、知ってます?私の父ってものすっごい過保護なんですよ。」
「それがどうしたの?」
「…GPS、いたるところにつけられてるんですよね。だから、誘拐とか無理なので諦めてください。」
そう言うと、驚いた顔をしていた。
効果…あり??
そう思ったのもつかの間、彼はくすくす、それはおかしそうに笑いだした。
「僕が誘拐?そんなそんな!誘拐なんて馬鹿な真似、しないよ!」
「はぁ?」
…思わず素の声が出てしまった。
「今すぐ、僕のものにすればいいだけだからね!!」
そう言って、彼は鞄から片手で器用に紙を取り出した。
それを目の前で開けて見せられて驚愕。
──婚姻届。
そこには確かに、そう書かれていた。
え、こいつ、まじのヤバい奴なんじゃない??
ため息を1つついてから、先輩の顔を睨んだ。
「…私、彼氏いるんです。婚姻届なんて困ります!それに、父は過保護だって言いましたよね?…今すぐ手を放してください。」
「だから嫌だって言ってるでしょ。」
「…忠告は、しましたからね?先輩、何か勘違いしてるようですけど、私が何も抵抗できないだなんて思ってませんやね?」
「え?」
