あの最悪な出会いから一年以上が経った今でも、彼女からの嫌がらせは続いている。


私がこの国のことを学ぶために読んでいる本、言葉を学ぶために用意してもらった絵本が破られていることは日常茶飯事。

食事を食べるときには水をぶっかけられ、数少ないドレスや装飾品が捨てられていることもあった。



「…なんて幼稚ないじめなんだろう。」

「お嬢様…大丈夫ですか?」

「こんなの、痛くも痒くもないわよ。悪いけど、着替えの服を用意してもらえる?」

「はい、すぐお持ちいたしますっ!」


あの日から嫌がらせが始まり、それが長いこと続いているからだろう。

同情が芽生えたのか何なのか、モルガネやイレーヌだけではなく、他の使用人達が優しくしてくれるようになった。


自分で言うのはなんだが、私は貴族令嬢としてはかなり優秀だと思う。


体力が回復してからは、社交ダンスのレッスンが開始。

才能があると先生からはお褒めの言葉をいただいた。

言葉を流暢に話せるようになるのも早かったし、勉強もできた。

それに加えて、名前と顔を覚えるのも得意なのだ。


お義父様から話し方、立ち居振る舞い、食事のマナー、礼儀、ダンスなどの厳しいチェックを受け、次の夜会で私をお披露目するということが決まった。