「ナナお嬢様、そろそろ勉強の時間でございます。」

「え、もうそんな時間!?教えてくれてありがとね、モルガネ。」


私がここに来て約二年という月日が流れた。


あれから私は半年ほどで日常会話ができるほどにまでなった。

自分が置かれている状況を理解したのはこの頃だ。


まず、この国は“マキシャル王国”と言うらしい。

地図を見せてもらったが、私の知っている世界地図とは全く異なるものだった。


そして、ある街のとある森では、4年に一度、神様からの贈り物があるそう。

その贈り物の中にいたのが私だった。

そして私が“神の子”だと呼ばれていることを知った。


これらのことから導き出せることは──異世界転移。

きっと、私は転移者だ。


漫画ではそういう話が大好きなこともあり、よく読んでいたのだが、実際に自分の身に起きていると考えると恐ろしい。


あの日、森で発見された私はずぶ濡れで瀕死だったそう。

それをこの家の主人──ダニエル・アルベルト・ドゥヴォスに拾われたのだ。


もともと、神からの贈り物があるという森はドゥヴォス家の所有地であるため、彼は私のことを養女として迎え入れた。

そして教育を与え、この2年間世話をしてくれたのだ。