教科は数学。
私の中では、比較的得意な教科だけれど、それでも私の頭でできる問題は、たかが知れている。
それでも、やらないよりは少しは良いだろうと思い、シャーペンを握った。
「うーん......」
静かな図書室に、私の唸り声が小さく響く。
最初は良かったーー。
だけど、だんだん難易度の高くなる問題に、私の頭はついて行かなかった。
やっぱり、一人でやってもどうしようもない。
だからといって、先生に聞きに行ったら絶対に話が長くなるから嫌だし......。
紗奈ちゃんには、既に断られているし......、私には頼れる人は居ないーー。
「あっ」
居た、頼れる人。
それも、身近に。
教えてくださいと言ったら、嫌だと即答されるだろうけれど、それでも何だかんだで、教えてくれそうだ。
言ってみる価値はある。
頼れる人ーー、もちろんそれは悠真先輩。



