悠真先輩ーー、そんな姿を私に見せれくれるなんて感激です......っ。
悠真先輩との距離が近くなっていると感じるのは、私だけだろうか?
少しは仲良くなれたと思ってもいいかな?
しばらく、先輩と並んで校庭を見ながら、私はその余韻に浸っていた。
そんな時、サラリとした風が私の身体を駆け抜ける。
運動した後とはいえ、半袖の体操服姿の私には少し肌寒く感じ、反射的にブルッと身震いした。
「っくしゅ」
くしゃみまで出てしまった所で、そろそろ中に入ろうかと思っていると、突然パサッと肩に何かがかけられた。
「それ着てろ」
その、“何か”を見てみると、それは悠真先輩の着ていたジャージだった。
しかも、まだ先輩の温もりが残っている。
それを、私が使っていいって?
そんなの、遠慮なく使うに決まってるじゃない。
「ありがとうございますっ」
私はいそいそと、袖に腕を通して少しだけ匂いも嗅いでみる。
ーー悠真先輩の匂いだ。