まさか、あれを見られていたとは......。
しかも、悠真先輩と居るところをーー。
「しかも、めちゃくちゃスパルタだったしーー。私たちの部活より厳しかったと思うよ、あれは」
思い出しながら言ったのか、苦笑いしていた。
たしかに、スパルタだった。
悠真先輩と一緒に居られるとはいえ、甘い空気なんか滅多になかった。
だけど、ふたりっきりで教えて貰えただけで私は嬉しい。
思い出しただけでも、笑みがこぼれそうになる。
「中山さんが頑張ってるの知っていたし、楽しかったから。負けちゃったけど、一緒に出来て良かったよ。ありがとう」
「こ、こちらこそ、ありがとう」
本当に、頑張ってよかった。
そう思えた一瞬だった。
練習に付き合ってくれた悠真先輩に、お礼が言いたい。
私はクラスメイトと別れて、試合中に悠真先輩がいた場所に目を向けたけれど、既にそこには悠真先輩の姿はない。
どこに行ったのだろうかーー?



