「おい......、聞いてるのか?......結愛っ!」
「ふぁい?」
おっと、またトリップしてしまっていた。
いけないいけない......。
「練習しないなら、帰るぞ」
「待ってください!しますっ。ちゃんとやります」
悠真先輩に帰られたら、いつまで経っても上達しないのは目に見えている。
というかーー、スルーしちゃったけど、今名前呼んでくれたよね?
初めてな気がする。
この間は、タイミング悪くて呼んでもらえなかったし、いつも“おい”とか、“お前”とかだったし。
「悠真先輩......、今ーー」
「あ?さっさとパスしろ」
名前呼んでくれた?あわよくばもう1回お願いします。
そう思ったのが伝わってしまったのか、言い終わる前に遮られた。
でも、今はパスしないと、もう1回呼んでもらえるどころか、先輩は帰ってしまうだろう。
また後で確認しよう。
私はそう思いながら、悠真先輩に向かってボールを投げた。



