びっくりしない方がおかしい。
なのに、悠真先輩はーー。
「甘い......」
顔をしかめながらそう言った。
関節キスは気にしないタイプなの?
それとも、私だから意識していないだけ?
それはそれで、悲しいけれどーー。
「やっぱり、無理だ」
私の心の声と、焦りを知らない悠真先輩はそう言って、優雅にコーヒーを飲んでいた。
それより、このフォークどうしよう。
このまま残りを食べたら、悠真先輩が口に入れたフォークで食べることになる。
そんな事をしたら、私はどうなってしまうのだろう。
嫌とかではなくて、むしろ嬉しいことなんだけれど、ドキドキと速まる心臓が、気持ちに追いつかない。
だけど、このままフォークを変えたら、感じ悪いよね。
そう思い、私は意を決してタルトにフォークをさした。
プルプルと震える手で、フォークを口に運ぶ。
パクッと食べたけれど、あんなに美味しかったはずのタルトなのに、今は味が分からなかった。



