そして、紗奈ちゃんはまさか私のせいだったとはーー。
確かに、私は紗奈ちゃんとしか言っていないから、悠真先輩は、苗字で呼ぼうにも知らないから、呼べなかったのだ。
でも、それとこれは別。
「それでも、お前って呼ばれるのは嫌です!さあ、名前を呼んでください。恥ずかしがらずに、“結愛”って言ってください」
私はわざと名前を強調して言った。
これは、譲れないところだ。
「ゆ......」
悠真先輩は言いにくそうに口を開いた。
あと1文字、あと1文字足せば私の名前ーー。
なのに、なんて間が悪いのだろう。
悠真先輩が言う前に、店員さんがケーキを持ってきたのだ。
「お待たせ致しました。写真撮らせていた抱きますので、彼氏さん、彼女さんの方に行ってもらってもよろしいでしょうか?」
そう言われ、私は心の中で叫んだ。
ケーキが来たことは嬉しい。
写真を撮ってもらえることもーー。
だけど、間が悪すぎる。
もう少しで名前を呼んで貰えそうだったのに。



