きっと、普通は病み上がりなんだから大人しくしてなさいと言われるだろうけれど、質問責めのお母さんから逃げる為だ。仕方がない。


歩いて5分くらいのところにある河川敷に行き、少し歩き進める。


周りに何も無いその先には、沈み始めた夕日が見えた。

それを見て、そういえば今は夕方だったと自覚する。

寝ていたせいで、時間の感覚もおかしくなっていた......。


あまり遠くに行き過ぎないように、少し歩いてから引き返そうと振り向いた時、自転車に乗っている人と目が合った。



「悠真......先輩?」



まさか、こんなところで会うとは......。

それに、その辺だからと、オシャレの欠けらも無い私の格好。


タイミングが良いのか悪いのか、ちょっと複雑だ。


そんな先輩も、ここで会うとは思っていなかったらしく、目を見開いている。


この間のデートの時よりもラフな格好の先輩だけれど、それでもかっこいい。

きっと、何を着ても似合ってしまうのだろう。