「あ〜......、待て、そんな焦った顔するな」
私の様子を見て、苦笑いしながら先輩が言う。
「だから、そのーー、美味かった......」
ふいっと視線を外しながらそう言った。
う、まかった......?
それは、本当に......?
だけど、疑ってもしょうがないことは直ぐに分かった。
悠真先輩を見たら、顔が本当にそうだと語っている。
だって、恥ずかしそうにしているけれど、口元は上がっているから。
そんな反応を見て、私も嬉しくなる。
「えへへっ」
先輩の胃袋が掴めたのだ。
私は、緊張で張り詰めていた糸がほぐれていくのを感じる。ーー良かった。
「また、持ってきますね」
「......あぁ」
拒絶もされない。先輩は、本当に要らなかったら、要らないと言う人だから、この反応は凄く嬉しい。
作ってよかったーー。私はそう思いながら、お弁当箱を鞄にしまった。
緊張が途切れたせいか、なんだか目の前がふわふわしてくる。



