コートなんかいいから、早くお弁当を出せーー、と言われている。
私を足の間に座らせたまま......。
恥ずかしいのは、私だけなのだろうか......。
悠真先輩は至って普通だ。
私は、内心ドキドキしながら鞄に入っているお弁当を出した。
ひとつを先輩に渡して、もうひとつは自分で開ける。
中身は同じだけれど、悠真先輩の方が少し多い。
もちろん中身は私の手作りだ。
今回は、お母さんと一緒に作ったから、味は保証できるーーはず。
悠真先輩は、いただきますと小さく呟いてから、食べだした。
私が目の前に居るのに、邪魔になっていないのだろうか?私を避けて、器用に食べている。
そんな気配を背後で感じながら、私も1口目を口に入れた。
ーーうん、味が分からない。
美味しくできたはずなのに、緊張しすぎてそれどころでは無い。
私はロボットの様にパクパクと口に運んで行った。
「ご馳走様」
いつの間に食べ終わったのだろうか。



