右耳にかかる悠真先輩の息がくすぐったい。
「せ、先輩......っ?」
「やっぱり冷たいな」
そう言った悠真先輩は腕を離して、後ろで何やらゴソゴソやっている。
あれーー?今のはもしかして、私の冷え具合を知るため?
甘さの欠片もない悠真先輩の言葉に、ドキドキしていた私は温度差を感じる。
分かってるよーー。
先輩は元からこういう人だ。
それでも、ちょっとは期待しちゃうじゃないか。
そんな私の肩に、パサッと何が掛かった。
温かさを感じるそれは、さっきまで悠真先輩が着ていたコートだ。
「ちょっ!先輩!?」
コートが私の元にあるということは、今悠真先輩は制服のみということだ。
マフラーも私の首に巻かれたままなので、こんな事をしたら、先輩が寒くなってしまう。
私は急いで返そうと、振り返ろうとしたのに、振り向けなかった。
「いいから、黙って座ってろ。それよりも、弁当くれるんだろ?」



