俺が適当に流すと、いつもヘラッと笑って違う話に持っていく。
相手を見て、空気を読むのが上手いのだろう。
どう答えても、けして、暗い雰囲気にはならない。
今まで俺に告白してきた人は、その場で泣くか理由を詰め寄ってくる人ばかりでうんざりしていた。
その中で、コイツだけが全く違う反応をした。
今思えば、その時から俺は気になっていたのかもしれない。
気づけば俺は、結愛を見て自然と口角を上げていた。
「あっそ」
口から出る素っ気ない言葉。
振るわけでもなく、適当に流した訳でもない。
いつの間にか、コイツに好かれるのも悪くないと思っている自分がいたーー。