「そういえば、どうして私がここに来たいって知ってたんですか?」



あれ?俺知ってたって言ったか?言ってないよな......?

何を言い出すのかと思えばーー。

俺はその問いかけには答えず、頭の中で答えを探す。


絶対に本当の事は言えないのだから。


内心焦っていた俺を、不思議そうな顔で見てくる。



「あれ?先輩がチケット持ってたから、私が行きたいこと知ってて用意してくれたのかと思ったんですけど......」



まさにその通りだーー。


知ってて連れて来た上に、チケットまで用意してたら、いくらなんでもバレるか......。


俺が知ったのは、本当に偶然だった。

たまたま、教室に向かっている時に、結愛とその友達が話しているのを聞いてしまっただけ。


その話し相手は、もちろん紗奈ちゃんと呼ばれている結愛の親友なんだけれど......。