小声呼んで、引っ張ってでも連れていこうとしたとき、目の前にいたカップルが人目も気にせずキスをした。
思わずピシッと固まってしまう。
「ん?先輩どうしたんです......か?」
俺の視線に気づいたらしい結愛も、視線を追った先を見て固まった。
絵になるようなワンシーンだけれど、思いっきり2人の雰囲気に入っていて、俺達には気づいていない。
気まずいことこの上ない。
結愛なんて、目が離せなくなっているので、顔が真っ赤になっている。
他人のキスシーンを見てその反応なら、きっと、本人はしたことないのだろう。
からかってみても良いけれど、後が面倒くさくなりそうだ。
そう感じた俺は、ロボットみたいになっている結愛を引きずって、その場を離れた。
「ど......、ドキドキしましたねぇ〜」
甘い雰囲気の場所を早足で通り過ぎ、広い所に出た時、甘さの欠けらも無い声で結愛が言った。
第一声がまさかのそれーー。



