たぶん、結愛の言う“さっきの”は、助け出した時のことだろう。
結愛好みの恥ずかしいセリフ......。
あんなの二度と言うものか。
思い出すだけでも、恥ずかしい。顔が熱くなってくる。
「ーーっ、言わねぇよ」
決して、結愛を見ないように視線を逸らしながら言う。
今のこんな顔を、見せられるわけが無い。
そんな俺を見て、結愛が更に目を輝かせた事には気付かずに、目的地に向かった。
「ここってーー」
びっくりした顔で目の前の建物を見ている結愛。
それもそのはずだろう。
俺がここに来たかった訳でもないし、結愛から実際にここに来たいと言われた訳でもない。
なのに、来たかった場所に連れてこられて、びっくりしているのだ。
俺はたまたま聞いただけだったし、今日は結愛の計画に乗ってやろうと思っていたから、さっきの出来事さえなければ、ただ後を着いていくだけのつもりだった。



