男達もどこかに逃げていって、遠巻きに見ている人も居なくなってから、悠真先輩はくるりと振り向いて私にデコピンをした。
「いたっ......。もう、何するんですかっ」
「ほら、さっさと行くぞ」
強気に振舞っていたけれど、実際はものすごく怖かった。
いつの間にか震えていた私の手を、悠真先輩はそう言って、掴んで歩き出した。
掴まれて、初めて震えていた事に気がつく。
というか、さっき助けてもらった時、悠真先輩“こいつ、俺のだから”って言ったよね!?
聞き間違いなはずないよね......。
もう1回言って欲しい。もちろん、録音するから。
「悠真先輩っ!助けてくれてありがとうございます」
「......なんの事だ」
まるで、助けてなんかいないとでも言うような口ぶりだ。
意地でも認めないのが、悠真先輩らしい。
「先輩、さっきのもう1回言ってくれませんか?」
認めないなら、認めさせるまでだ。



