「良かったわね、これであの先輩とデート行けるじゃない」



私の表情で分かってしまうなんて、さすが紗奈ちゃんだ。

それだけ私が分かりやすかったのかもしれないけれど......。


悠真先輩とデート......。


もちろん、ご褒美はクリスマスデートにするつもりだったけれど、先輩は行ってくれるだろうか?


いくらご褒美だからといって、無理強いするつもりはないから、嫌だと言われたらそれまでだ。


断られないことを願いながら、私は授業が終わるのを待った。


終了のチャイムがなるのと同時に、教室を飛び出した私ーー。



「えっ?結愛今行くの?」



そんな紗奈ちゃんの声が聞こえたけれど、答えはもちろんだ。


確かに、今はお昼休みでも放課後でもない。

3限目が終わった小休憩の時間。

だから、時間も短い。


私は次の授業に間に合うように、廊下にいる人の間を抜いながら悠真先輩の教室まで走った。



「はあっ、はあっ......」