私はそっと近づいて、近くの本棚の影からその背中を眺めた。

何かの小説か、参考書かは分からないけれど、真剣に本を読んでいる悠真先輩はかっこいい。

そして、初めて見るメガネ姿ーー。

私の心臓はドキドキと鼓動を早めた。


黒縁の四角いメガネが、先輩のイケメン顔に合っている。

あんなの見たら、誰だってキュンとしてしまう。

いつまでだって見ていたい。


うっとりと見つめていると、何かを感じたのか、ふっと顔を上げた先輩は、私の方を振り返った。


バッチリ合う、私と悠真先輩の目。



「......」


「......はぁ、さっさと来い」



バレてしまったと、思いっきり顔に出たのだろう。


呆れたような表情の悠真先輩は、ため息を吐き出してそう言った。


バレてしまったものは、しょうがない。

悠真先輩のメガネ姿を近くで目に焼き付けておこう。

ーー勉強という、当初の目的なんて、さっぱり頭の中から消えていた私は、先輩から目を離さないまま隣の椅子に座った。