日曜の朝は ゆっくり起きて。

ブランチを兼ねて 2人で散歩する。

どんよりと曇った空は 

今にも 雨が 降り出しそう。


「真美。傘 持った?」

駿平が聞くと 真美は 得意気に 傘を掲げた。


マンションの近くのカフェで

ゆっくり 食事をして。

「公園まで 歩こうか?」

駿平が言うと 真美は そっと 駿平の手を握った。


「ここ 桜が綺麗なんだよ。」

目黒川沿いを 歩きながら 駿平が言う。

「知ってる。よくドラマに 出てくるよね?」

真美は 笑顔で頷く。


少し歩いて 駿平は 公園に入る。

「わぁ。先生。あじさいが満開。」

緑に覆われた 公園は 昨夜の雨で しっとり湿っている。


「見事だね。真美 あじさいの花言葉って 知ってる?」

あじさいの群れに 足を止める真美。

駿平が聞くと 真美は 寂しそうな顔をした。

「知ってるよ。移り気とか。心変わりとか。」

ポツリと答える真美。


「昔 俺のこと あじさいって言った女性がいてさ。俺が 浮気性だったから。まぁ 言われても 仕方ないんだけど。」

駿平の言葉に 真美は クスッと笑う。

「それで 俺 あじさいの花言葉 調べたの。そしたら 家族とか 団らんとかっていうのも あるんだよ。ほら こうやって 小さい花が集まっているだろ?それ以来 俺 あじさいが好きになったんだ。」

「花言葉って 色によっても 違うらしいよ。赤いバラは 愛情だけど 黄色のバラは 別れなんだって。」

真美は 駿平の言葉に 頷きながら言う。


「真美。俺 ずっと浮気性で。自信がなかったんだ。真美のこと 大好きだけど。いつか 悲しませてしまうかもしれないって。不安で。だから 言えなかったけど。でも 真美と ずっと一緒にいたい。真美と離れるなんて 考えられないんだ もう。」

あじさいの前で 立ち止って 駿平は言う。

真美は 黙って 駿平を見つめる。

「真美。俺と 結婚してほしい。」


「先生……」

「浮気なんて つまんないって。真美と一緒にいて やっとわかったから。」

「先生。私でいいの?本当に…」

「真美がいい。真美じゃないと ダメなんだ。」

「夢みたい…私 先生が 大好きだから。」

「この花みたいに 真美とくっ付いて 家族を作りたいんだ。俺 あじさいだから。」


照れた顔で言う駿平に 真美の瞳は 涙で盛り上がった。