「亜紀子。俺 間違っているのかな…」

弱気な駿平を 亜紀子は クスクス笑う。

「先生~。どうしたのよ。情けない声出して。」

「何か 俺 勝手が違ってさ。自分でも よくわからないんだよ。」

「恋愛経験が 豊富なくせに。何が わからないの?」


「俺さ。女性と遊んでいても 恋愛は したことないんだよね。本当は。」

遊び上手で いつも 自信満々な駿平の 

弱っている声は 亜紀子を 少し切なくした。


最近 駿平が 真美に 惹かれていることは

仕事中の 駿平の態度でも 伺い知れたけど。


「イヤだわ。先生には いつでも 堂々としていてほしいのに。」

「俺 本当は 女心なんて 全然 わかってなかったよ。」

「そうね。私が 真美ちゃんなら 今日 私を誘ったこと きっと 悲しむと思う。」

「でも 真美が 今までと同じでいたいって 言うから。」

「真美ちゃん いい子だから。先生の 負担になりたくないのよ きっと。」

「負担?」

駿平が 聞き返すと 亜紀子は フウッと ため息をついた。


「先生が 真美ちゃんに 遠慮して 色々 我慢するのが イヤなのよ きっと。」

亜紀子は そんなことも わからないの?という目で 駿平を見た。


「実は 俺も まだ 自信がないんだよ。ずっと 真美だけで 満足できるのか。」