「あ。ねぇ、雪姫ってさ、嶋村のこと好きなの?」
部屋に戻ったら奏波がベッドに座ってスマホを見ていた。
そのまま思いついたように呟かれた一言。
「!?!?」
突然のことにびっくりして奏波の前で立ち止まる。
奏波もすぐ近くで立ち止まった私を不審に思ったのか、ふとこっちを見上げた。
「雪姫?」
「……ごめん」
反射的に謝った。
謝ってから気付く。
……奏波も嶋村くんを……
奏波が最近よく嶋村くんに話かけてたことを思いだした。
「いや、謝ってほしいわけじゃないよ」
苦笑いを浮かべたまま私をじぃと見つめてくる。
何か言いたげな、でも私が話すのを待つような視線。
無意識に握りしめた膝掛けの感触で今さっき嶋村くんに会ったことを思い出す。
何も言えなかった。
奏波を裏切った気分になって思わず目を背ける。
嶋村くんと連絡先を交換出来て嬉しかったと思った自分。
いつの間にか有頂天になってた自分。


