そんな静寂を破ったのは雪姫だった。
ぽつりと聞こえた可愛い声。
「……嶋村くん、今日は、ありがとう」
雪姫の肩から顔を上げて見れば、真っ赤になった顔で俯く雪姫の姿。
………煽られてるとしか思えない。
「……うん、今度は休みの日にデートしよう。もっと長い時間一緒にいたいし」
声をかけながら右手で雪姫の頬に触れる。
ピクッ
と反応を隠すように雪姫が声を出す。
「う、うん。あ、明日ちゃんと着け…」
だから、俺は唇で雪姫の言葉を遮った。
不意討ちのキス。
無心で軽く触れた唇から離れて目を開けた。
びっくりして見開いた大きな目と視線が合うが、すぐに視線を逸らされた。
少しだけ伏せ目がちになりコートを掴む自分の手を見て照れるような姿。
可愛い。
もっと顔を見たい。
本能で動く右手が雪姫の顎を軽く支え上げて再び視線を繋ぎ合わせる。
「雪姫」
勝手に出た声は雪姫を誘う。
潤んだ瞳が声に反応してぎゅっと目を瞑るから引き寄せられるように唇を重ねた。
二度目は雪姫の唇の柔らかさがはっきりとわかるキス。
その柔らかさはもっと触れていたいと瞬時に脳裏にインプットされる。
その途端、自分の欲が奥底から顔を出しそうになった。
慌てて唇を離して誤魔化すように雪姫を掻き抱く。
ヤバかった…………。
抱きしめたまま、大きなため息を一つ吐く。
腕の中の雪姫の顔は見えないが、今尚、俺にしがみついたまま大人しく抱きしめられたままだ。
思わず反応が見たくて頭を撫でたが、俯いてた雪姫が嬉しそうに顔を胸に擦り寄せた。
これはダメだ……………。
俺に甘えてほしい。
そう思っていたはずだが、この甘え方は想定外過ぎだ………。
やっと3人のイケメンから引き剥がすことが出来たと思ったのに、俺みたいな欲深い男に捕まった雪姫を気の毒に思った。
それでもやっと雪姫を手に入れた幸福感に浸りたくて、雪姫の肩に顔を埋める。
「雪姫が好きだ」
雪姫は俺だけの彼女。
抱きしめた腕に力を込めて甘く幸せな時間に酔いしれた。
ーーー Fin ーーー


