「……この馬に乗ってみる?」
突然の提案に目を丸くする。
「む、無理だよ!だって……」
ちらりと送った視線の先では、空人をマンツーマンで指導してる奏波の姿。
それに気付いたのか、嶋村くんは軽く笑って言った。
「大丈夫だよ。跨ぐだけ。馬は動かさないから。……視線が高くなると結構気分が良くなるよ?」
「その仔なら大人しいから大丈夫ですよ。せっかくだから跨ぐだけしてみては?」
思わず振り返る。
近くで様子を見ていた牧場のオーナーさんにまで勧められてしまった……。
どうしよう、と躊躇っていた隙にオーナーさんに「こっちから入って」と手を引かれた。
そのまま柵の中に滑りこむ。


