空人を呼ぼうとした俺がバカだった。
俺しかいない道場で雪姫が泣いてるなら原因は俺しかいない。
雪姫が道着にしがみついていた。
さっきもしがみついてたのに引き離したのは俺だ。
気付かなくてごめん
他の誰も呼ばない
他の奴に雪姫を渡さない
「嶋村くんが好き。本当はずっと一緒にここに来たかったの。ここで嶋村くんを好きになったの」
何度も俺を好きだと言う雪姫の声が
愛しくて嬉しくて俺まで泣きそうになる。
わかったから。
もう十分だから。
これ以上、俺を泣かそうとしないでほしい。
俺は雪姫の頭をかき抱いた。
「俺もここで雪姫を好きになったんだ。
……好きだよ雪姫。また一緒に帰ろう」
「うん」


