「……なんで空人?」
「ん?俺と正騎も一緒に行くから♪」
……いつの間に嶋村くんを呼び捨、じゃなくて!
「いや、一緒に行くなんて聞いてないんだけど?」
「うん。言ってないもん」
「………」
「いいからあんたらは後ろに乗って!
雪姫は私の隣ね♪」
奏波は強引に腕を引っ張って私を車に押し込めた。
思わずムッとして、流れだした景色を見ていたら空人と奏波が言い訳しだした。
「ごめんね雪姫。空人が馬に乗りたいって言うから……」
「奏波が雪姫に言うなって口止めするから言えなかったんだ。ごめんな」
「だって空人も一緒、って言ったら雪姫は来てくれないと思ったの」
騙された私は思わずキツく言った。
「だったら3人で行けばいいじゃん。私、関係ないし」
「雪姫がいないと私も行かないから」
「そうだよ。雪姫が来ないなら俺が行くわけないだろ」
……理不尽だ。
この二人、こういう時だけ意見が合うのを忘れてた。
とにかく車に乗ってしまっては仕方ない。
わざとらしくため息ついてから気を紛らわそうとした。


