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夏はセミの声がして、扇風機と、クーラーの音がして、
後は……
「………」
私はひとり、生徒会室でそんな単語ばかりを頭に浮かばせていた。
いつものように生徒会室に行くと、誰もいなくて、こうしてぼーっとしているのだ。
特にやる仕事もないし。
あれ?
こういうときって、なにしてたっけ?
なんで皆来ないんだろう。
そんなとき、ドアが開く音がした。
誰か来た。
「こーちゃん見っけ!」
私を見つけるなり、そう大きな声で言うのは菅原。
菅原とふたりっきりだと、またクーラーの温度をめちゃくちゃ下げられる…
私は記憶力がいいから、こういうこともずっと覚えているのだ。
「今日もテンション高いね」
暇だからそんなことを言ってみる。
私が菅原に話しかけるなんて、めちゃくちゃレアだ。
ゲームのガチャで星4つのキラキラなキャラが出るくらいの、レアだ。
「そうかな~、へへっ」
嬉しそうにスキップをしながら、生徒会室をぐるりと回ると、そのままドアに手をかけた。
「…帰るの?」
まだここに来て1分も経ってないけど。
「うんっ、忘れ物取りに来ただけ!こーちゃんは、何してるの?」