結さんは苺味、菅原はソーダ味、渚先輩は何味だろう?
隣にいる渚先輩に目を向けると、緑色だった。
「抹茶ですか」
「…うん、食べる?」
…抹茶ってどんな味なんだろう
勝手に苦くてまずいイメージがあるから、今まで食べてこなかった。
ふにゃりと笑って差し出したそれに、遠慮なくかぶりついた。
…んん、ほんのり苦いけどそれも美味しい
抹茶味…これもたまにはいいかも。
そう頭のメモに書いておいた。
「…おいしい?」
そう言って私の顔を覗いた先輩に、ゆっくりと頷いた。
こういうときは、私のもあげるのがフェアだ。
「私のチョコ味も食べますか?」
私がそう言ってアイスクリームを差し出すけど、先輩はアイスクリームではなく、
私をじっと見つめた。
……なに?
「……先輩ってば、聞いてます?」
せっかく人が大好物をあげようとしてるのに、なんなんですか?
私はムッとして、先輩を見る。
するとそれに気がついた渚先輩が、私のアイスクリームを少しだけ自分のスプーンですくった。
そのままかじればいいのに。
そう思ったけど、心の中にしまっておいた。
「…甘い」
そう言って笑う先輩を見て、ほら、チョコ味も美味しいんだぞって自慢気になった。
抹茶も美味しかったけど、たまにはチョコも食べてよねって。
ラブラブな二人はおいといて、私たちは平和にアイスを食べながら、
静かに空を眺めていたのだった。



