結さんは、菅原にとってもらったぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて、嬉しそうに笑っている。
それを見て、微笑ましい気持ちになった。
…よかったですね
結さんといるときの菅原は、いつもよりもっと楽しそうに見える。
…ちゃんと、二人だけの世界がありますよ
菅原も、結さんが大好きなんだと思います。
両想いです。
それにしても、うちの生徒会長はどこへ行ったのでしょう。
辺りを見渡すと、なんだかキャッキャッと高い声がどこからか聞こえてきた。
…芸能人でもいるの?
声がする方に歩いていくと、誰かを中心に盛り上がっている様子が確認できた。
そして、その中心にいる人物は、見覚えのある人だ。
というか、
「…モテておる」
うちの生徒会長だ。
見なかったことにして、くるりと向きを変えると、結さんたちがいる方へ足を進めた。
…うむ、いつか帰ってくるでしょう。
「かっこいいですねっ」
「どこの高校なんですかぁ?」
確かに先輩はかっこいいですが、超がつくほどの真面目ですよ。
心の中でそんなことを言ってみる。
「えっと…」
珍しく焦っている先輩の声。
その声を聞いて、私の足は自然と止まった。
…なんだ
普通、男って女の子にちやほやされたら嬉しいもんじゃないんか?
渚先輩が女の子に慣れてないだけか。



