「…先輩さっきから_」
_グイッ
先輩は何も言わず、端っこにいろと言わんばかりにグイッと引っ張って、私を移動させた。
…たまに強引
……やっぱり先輩は手強い
近くにいる先輩からは、優しい何かの果物のような匂いがして、なんだか落ち着く匂いだなぁと思う。
疲れているからか、電車のガタンゴトンという揺れが少し心地よくて、立ったままでも、うとうとしてしまう。
…いかん、いかん
何か話してないと寝てしまう…
「明日は生徒会で集まりますか?」
「んー、集まらないかなぁ、今日で終わらせたし」
あ、先輩の声がいつもより近くにいる。
「…ふーん」
「暇だから行きますね」
…先輩って、こんなにまつげ長いんだ
「…俺の話聞いてたのかな?」
「…っ…ごほっ…」
_ドキッ
「先輩!!」
「…大丈夫…ですか?」
「…ふっ…」
「…は?」
…人が心配してるのに、またこの人はへらへらして…
「大袈裟だよ」
そういう先輩に少しムカついて、いつ言おうかと思っていたことを今言うことを決意した。
「…先輩」
「髪はねてます」
「あえて言いませんでした」
「…あ…ありがとう」
…照れておる…
先輩って意外と照れ屋なんだよな。



