渚先輩の服を貸してもらえるみたい。
「はい」
私が返事をすると、渚先輩は「ちょっと待ってて」 と言ってリビングを出た。
「ふくかいちょーって、お皿洗い好きなの?」
「好きってわけじゃないけど、得意よ」
「へ~!じゃぁ俺の得意は、お皿をタオルで拭くことだね!」
「ふふっ」
こんなカップルの会話を聞きながら待っていると、渚先輩が戻ってきた。
手には灰色のパーカーと、黒色のだぼっとしたズボンを持っている。
そしてそれを私に渡してくれた。
「少し大きいかも」
「大丈夫です…ありがとうございます」
落とさないようにそれをぎゅっと抱くと、渚先輩の匂いがふわっと私を包んだ。
…いい匂いがする
私この匂い、好きだなぁ。
ぼふっと顔をうずめてみると、もっといい匂いがした。
渚先輩の匂いだ。
「…あの、」
これいい匂いがします。って言おうとしたのに、
顔をあげると渚先輩が頬をピンク色に染めていたから、言えなくなってしまった。
「…なにしてるの」
そう言って口元を手で隠しながら私を見つめる先輩。
あれ、もしや私の行動、変態だったかな。
「変な匂いする?」
不安になったのか、私が持っているパーカーに鼻を近づけて、クンクンする先輩。
…いやいや、むしろその逆で、
「…先輩の匂い、好きなんです」
落ち着くから。
…これを枕にしたいくらい
私がそう言うと、渚先輩は面白そうに眉を下げて笑った。
「そっか」
どこかホッとしているようにも見える。
「はい」
「バスタオルとかは、お母さんが後で置いておいてくれるから」



